55th Japan Book Design Awards/reviews

昨日冊子にて、審査員の方々から的確なお言葉をいただきました。とてもうれしかったので、印象に残ったお言葉を:

【濱崎実幸氏評】
「四六判としては不相応な小口の余白の確保を可能にしている。」
機能としての本をかなり追求してました。
「本文の意匠はストイックに抑制されていて、罫線一本引くのにも注意が払われている。」
私たちの流派の技の一つです。
「書体の選択と行間、余白だけでデザインした潔さがよい。」
タイポグラフィの基本です。文字のサイズが小さくても、、、
「このコンクールで色上質の見返しはなかなかお目にかからない。」
そうですね。デザイナーはほとんど積極的に使用しない紙です。笑
「お金をかけていない。使う人の立場になり外連がない、」
高価な紙や奇抜な流行紙でデザインをしたというごまかしは好みではありません。
「この判型では悪目立ちするリボンの栞はご愛嬌か。」
我慢はしていませんが、意識して栞を使用していただきたいという願いが込められております。それと銀色、幅(約8p二倍)で金属活字を意味しております。

【中江有里氏評】
「端正な存在感があった。」
そう感じていただけ幸せです。
「箱から出すとしっとりひんやりとした表紙があらわれ、ページをめくるとタイポグラフィの世界が広がり」
映画のように。
「仕事上必要でなくても、手元に置いて時折ページをめくって眺めていたくなる。」
まさしくです。

【岩瀬学氏評】
「サイズも仕様もすべて日常で使用してもらう事を前提とした選定で、それは一貫している。」
はい、普段使いのデザインです。
「使い勝手から四六判という小さいサイズを採用しているが、それが不利にならないようにレイアウトにも配慮しケースの素材選びからも華美にならず、それでいて良質さも兼ね備えたデザインになっている。」
まさしくです。

御三方、貴重な評をどうもありがとうございました。

55th Japan Book Design Awards/reviews」への4件のフィードバック

  1. お仕事柄、出版とのご縁の深い3氏が評する内容は、私のような
    素人のそれとは異なり、観点も表現もさすが専門家と思いました。
    3氏に共通しているのは、「ハンドブックであること」や「ハン
    ドブックであるにもかかわらず」ということへの称賛(評)で
    ある点と受けとめました。
    中江さんに至っては「仕事上必要でなくても、手元に置いて~」
    とあり、もはや手軽に使用するためのハンドブックということ
    からも離れて、それはまるで環境音楽のように、ひとつの書籍が
    そこに存在することへの賛辞に感じます。
    改めて、10月下旬からの公開展示が楽しみです。

  2. naruさん、ぼくもさすが専門家の方々と思いました。普通、タイポグラフィ関係の書籍はほとんどその業界の方達の世界にのみ生きているのですが、あえて。そして「ハンドブックであるにもかかわらず」ということへの称賛はうれしかった。わかってくださっています。
    そうですね、中江さんの手元にあるのでしょうか、、、環境音楽のようなというのはおもしろいですね。でも、この本はひたすら情報ですから、理屈ですから。ま、文字は環境にもなりうるのですが、公開展示が楽しみです。いろいろな方々に見ていただきたいです。

  3. 実は、環境音楽ではなくて、サティのような家具の音楽とコメントするつもりが、勘違いしてしまいました。
    しかしながら、どちらにしても適切な例えではありませんでした。申し訳ありません。
    環境の中にある時刻表や案内板などに使われている文字が取り上げられているのを拝見しましたが、漠然と存在しているのではなく、まさにそうやって機能しているのだことなのだと改めて思いました。

  4. あ、環境音楽で、おそらく大丈夫ですよ。サティの家具の音楽、なつかしいですね。
    環境の中にある時刻表や案内板が完成度が高いのは、そういう領域に達しているものがあるからなのではないでしょうか。軽々しくArtっと言いたくはありませんが、漠然と存在しているように見えて実はそうではなく、まさにそうやって機能しているのだということなのだと改めて思いました。ということ?

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です