ナカダ [99.7.8_1:07]
「バーゼルへの道」でエミール・ルーダーの『タイポグラフィ』の翻訳がすすめられていると書いてあったのですが、何か知っていたら教えてください。お願いします。
koizumi [99.7.10_22:27]
ぼくが知っているかぎりでは『タイポグラフィ』の日本語訳は10年ぐらい前に存在はしています。しかし、いろいろな事情があり出版はされていません。ぼくにはいつ出るかわかりません。待っていてもしょうがないので、がんばって原著の英文を読みましょう。 その方が力になりますし、深意がむずかしい部分がありますが、自分が成長すると理解できることが増えてきます。ぼくも今だにその線上にいます。つまり、いっぺんに読む本ではないということですね。
ナカダ [99.7.13_2:57]
エミール・ルーダーの『タイポグラフィ』について質問なのですが、初版の方は正方形なのに、今出ているものは長方形になっている。これはルーダーの意思で今の形になったのでしょうか?僕は現在出ているほうが「間」ができていて見やすいと思うのですが、どうなんでしょう?
koizumi [99.7.16_1:27]
そうですか。初版ハードカバーを御覧になりましたか。ぼくも実は版型についての真意はわかりません。おそらくペーパーバックにしたときの都合だと思います。ぺーパーバックもNiggli版、アメリカ版、スペイン語版。。。韓国語版などたくさん出ています。ところで、ぼくはオリジナルのハードカバーが緊迫感があり、やはり好きです。加えてColorの章やヴァリエーションの観音ページが充実してますし、ディテール、たとえばUniversの55と65の違いを示している箇所などはペーパーバックは刷り物から起こしていますので問題が生じています。それと、聞いた話にところによると、再販に際してペーパーバックを希望したのはルダー自身であったようです。学生のために少しでも安価にするために。
ナカダ [99.7.21_2:14]
『タイポグラフィ』の緊迫感とペーパーバックの危険性がよく分かりました。ありがとうございます。そしてまた質問。「バーゼルへの道」で『茶の本』を知り、読んだのですが(村岡博訳)、この本はヨーロッパではどのくらい読まれているものなのですか?これも原著の英文を読むべきなんでしょうね。まさに「所詮、錦の裏を見ぬに過ぎぬ。」ですね。 ところでkoizumiさんは英語やドイツ語はどのようにして覚えられたのですか?話は変わって「タイポグラフィは感覚だけでは勝負にならない、スポーツ選手のエクササイズと同じ」に賛同します。僕の知人でギターのプロを目指している人も同じようなことを言ってました。僕がデザインにのめり込むきっかけはアイデア誌でJ.M.-Brockmannのポスター群を見てからでした。では。
koizumi [99.7.23_0:23]
ナカダさま、岡倉覚三著『茶の本』。ぼくは英語オリジナル、ドイツ語訳、日本語訳しか知りません。いづれもオリジナルの初版本は見たことがありません。見てみたいものです。ぼくが持っているものではドイツ語版のブックデザインが一番よい。個人的には日本語訳はすばらしいと思います。難解な部分があるかもしれませんが、それを読まれれば十分ではないかな?バーゼルではルダーがこの本が好きであったと聞いています。他のうわさは聞いていません。ところで、おはずかしいですが、ぼくは英語が通じる程度しか話せません。ドイツ語はほんのすこし、ほとんど聞き取れないといってよい。バーゼルに行く前は英語もダメでした。ワインガルトからまず英語がしゃべれるようになってから来るように言われたぐらいひどかった。つまり、向こうで覚えました。そうですか、ブロックマンZRH。。。ポスター何がお好きですか?
ナカダ [99.7.28_0:25]
岡倉覚三著『茶の本』はメジャーではないのですね。少し残念。ところJ.M-Brockmannのポスターで好きなのは、あえて言うなら「der Film」のポスターです。でも、もちろんmusica vivaのポスターも大好きで、というか彼の作品はほとんど好きです。亀倉雄策さんが言うように、哲学的、禁欲的であるところが好きです。では。
koizumi [99.7.29_9:28]
ぼくは思いますが、メジャーなものが良いものであるとは限らないと思います。また、世の中にはメジャーでないもので良いものがたくさんあるということです。『茶の本』はメジャーですが。。。
ナカダ [99.7.30_1:51]
メジャーなものが良いものだとは限らない。まさにその通りだと思います。良いものもある。悪いものもある。素晴しい『茶の本』がヨーロッパでメジャーなら素敵だなって思ってただけです。メジャーなら良かった。話は変わって、僕も2冊だけですがTMを見て、専門的な印刷機器など満載な本のような感じだったのですが、これは本来どういった雑誌なのでしょうか?例えばこの号がオススメなどありましたら教えてください。
koizumi [99.8.1_9:56]
はい。「よいものもある。わるいものもある。」=YMOです。まさしくこれを見分ける洞察力を育ててください。 TM2冊。いつごろのでしょうか?ここ10年ぐらいは数冊を除いて、あまり良い号がありません。本来はタイポグラフィつまり組版職人のための専門誌といってよいでしょう。 戦後AGSにデザインが入り込む頃から興味深い雑誌になってきます。ルダーの『Typography』に出てくる作品群の中には学校でのプロジェクトと同時的にTMで発表されたものがあります。画期的でした。そして世界的にタイポグラフィの雑誌として金字塔になったのです。オススメの号はたくさんあってここでは示せません。また有名な号は世界中のファンが探していますので、きわめて入手困難でしょう。
ナカダ [99.8.4_3:01]
僕が見たTMは、1960年の8/9号と、もう一つはよくわからなくてtm sgm rsi 5と表記されているものです。YMOをお聴きになるんですね。素晴しきSNAKEMAN SHOW。ところで、僕は今、グラフィックデザイン関連の前後関係が知りたくて、「グラフィックデザイン」誌の100号と「Trasition of Modern Typography」の年表などを見ているのですが、他に良いものがあったら教えてください。
[メモ]
Referencesの項を参照。
koizumi [99.8.17_23:21]
さあ、エミール・ルダーの『タイポグラフィ』に関するためだけのチャットのスタートです。もちろん教科書はEmil Ruder “Typography” /Verlag Arthur Niggliです。 参加者みんなで理解やすい日本語にして、内容の背後にあるものまで深く追求していきましょう。もちろん図版のことも含めて考えていきます。まちがえを恐れずどしどし参加してください。
かつき [99.8.25_1:26]
さっそくでばなをくじきます。私の手元にある文章は『タイポグラフィ』の訳文ではなく、1980年に出版された別冊アイデア「タイポグラフィ・トゥデイ」だということが判明しました…。ごめんなさい。ヘルムート・シュミットさんが企画編集されたものだそうなので、価値あるものではあるのですが…。そこで提案、ここをもっと定義を広く「タイポグラフィの過去の歴史やデータ」情報のやり取りの場ととらえるというのは?実際、タイポグラフィの通史を把握したくても、まとまった資料はあんまりなくて、探すの大変だというのは本当に思っているので…。
koizumi [99.8.26_9:40]
かつきさん、そうですかー。訳ではなかったのですか??そして、ご提案ありがとう。しかし、このチャットはルダーに関してに限定します。定義を広くしたものはメインのチャットでお願いします。(歴史的範囲もできるだけモダンにしてください)。ここではルダー著『タイポグラフィ』に関してどのようなことでも結構です。そして、もちろん部分的な和訳でも質問でも結構です。みなさんからお待ちしてます。
さとう [99.9.1_4:50]
はじめまして。こんなチャットがあったのですね。数人のメーリングリストで6月からRuderのTypographyの読書会をやっています。(参加者の方からこのチャットの存在を教えてもらいました)毎週1〜2ページずつとゆっくりペースで始めたばかりなのですが、わからないところなど、またこちらでもみなさまにご相談させていただけるとうれしいです。よろしくお願いします。
koizumi [99.9.1_9:52]
さとうさん+読書会メンバーの方々:すばらしい!どこの都市でやっているんですか?このチャットは始めたばかりですし、まだワクしかありません(グスン)。今後一ヶ月も何も意見が入らなかったら、はずかしいので閉じようと思ってました(ルダーに失礼)。先日ぼくの東京のヴァーチャルオフィスにヘルムート・シュミットさん(ルダー・クラスの生き証人)がいらしたときにも、ちょっとこのチャットの話をしました。チャットでのやりとりが高度になったら、彼にも参加してもらおうと考えてます(もちろん英語ですが。。。)。つまり、オフィシャルになる可能性はあります。ですから、ぜひぜひ積極的に今までの成果などを載せてください。
さとう [99.9.4_16:44]
コメントありがとうございます。 読書会MLは東京の方が多いですが、関西や九州のかたもいます。シュミットさんにご相談できるようなレベルにはまだまだですが、ともかく「わからないなりに最後まで読む」のが目標です。ほかのみなさまも、もしよかったらぜひ。成果と呼べるようなものではないですが、わからなかった箇所など 週末に少し見直して、また書き込ませていただきますね。
[メモ]
随分前ことですので、アドレスなどは割愛しました。
さとう [99.9.8_3:07]
見直したらいろいろとあるので、順次書かせていただきますね。(ページ数は6版のものですので、ひょっとしたら違いがあるかもしれません。) p13に碑文の図版がありますが、p12にはwritten characterとあります。 writtenと言った場合、手書きだけでなく彫った文字なども含むことがあるのでしょうか?
koizumi [99.9.8_20:30]
p.13の1行目に出てきますね。これは一般論ですが、石に彫られてもひとつひとつ書くように文字を形成させるのでwriteでしょう。 ドイツ語ではSchrift。こっちはクリアーですね。
ナカダ [99.9.8_23:22]
現在見ているものは第3版なのですが(借り物)、6版のものとページが異なる(碑文の図版はP11)。この違いはどういう違いなんでしょうか?
koizumi [99.9.9_19:56]
ぼくもすべてのエディションをもっているわけではありません。コレクターではないので、おそらく5册ぐらいですが、今ここで見ているのが4th revised edition 1982です。大学院のスタジオに6th editionはあると思いますが、お話では違いは2ページ。PrefaceかIntroductionがないのでしょうか? よくわかりませんが。あまり、本来の本書の内容には大きな影響はないと思いますが?つまり重箱の隅をつっつくよりはこの本の全体の偉大さを追求してほしいです。もちろん、オリジナルのthe first editionは作品として全く別物です。
さとう [99.9.12_7:12]
小泉先生、解説ありがとうございます。読書会MLにはフランス語のわかるかたはおられるのですが、ドイツ語はいらっしゃらないようなので、ドイツ語部分の解説は大変ありがたく読ませていただきました。schriftを独和でひいてみると「字面、筆跡、手書きの字、碑銘」などとありました。この文脈の中では、字の形というような、範囲の広い意味だったのですね。なるほど。p10の最後の段落で、「タイポグラファは可能な組み合わせの多さで疲れ果ててしまうため、可能な方法を限らなければいけない、そうしないと死んだタイポグラフィになってしまう」というような箇所がありますが、なんだか可能性を限るとむしろ死んでしまいそうな気がして、いまひとつここの真意がよくわかりませんでした。無駄な力を使わずに、注意や労力を向ける先を要点に絞り込め、ということなのでしょうか。先を読み進んでいけばわかるのかしら?と気長な宿題にしていたのですが…。
さとう [99.9.12_7:38]
もうひとつ。12ページ(碑文図版の左ページ)の4段落目の「Littera umanistica」というのは、どんなものを言っているのでしょうか。MLでは「ラテン語で、人文主義者の文字という意味ではないだろうか?」などと(根拠のない)想像をしていたのでございますが…。ルネサンス期の文字の発展と、なにか関係あるのでしょうか。(全然違っているかもしれませんが)
さとう [99.9.12_7:45]
何度もすみません。あとひとつだけ。 あのう。テキストの版のことなのですが、「オリジナルのthe first editionは作品として全く別物」 というのは、どうしてなのでしょう?(どこがちがうのでしょうか?)
koizumi [99.9.12_20:16]
さとうさん、なかなか勉強していますね。インターネットをこのように人生のプラスに活用している人がいると、ぼくは俄然エキサイトしてしまう。(このようなテクノロジーはくだらんことに使う人が多いので。。。)
p.10のこと、これは重要です。さとうさんの考えでほぼ良いと思います。たとえば右ページに示されているようにいろいろな書体からひとつに絞っていくことを例にしても良いと思いますが、何を根拠にするかというのはタイポグラファーの生きた力量と思います。
これはただ表現上良いからとか、何かの模倣であってはいけません。まあ、先に進むとより明確に具体的になっていくでしょう。余談ですが、最近やたらとスイス・タイポグラフィモドキっぽいものが巷に増えていますが、ひとつのファッションっぽくなるのはうれしくない。
p.12の4つ目のパラグラフのはじめのラテン語。すみません、ぼくはよくわかりませんが、要は小文字の起源なんですね。ある種の異質?どなたかラテン語に強い人に聞いてください。ぼくが思うには大文字に何かが混ざって、今日のアルファベットに至っているんですね。だからルネッサンスに戻るということではないと思います。
オリジナル本についてですが、実物を見ることはなかなかないと思いますが(ひょっとすると年輩のGデザイナーはお持ちですよ)、ハードカバーで判型も正方形に近い、活版清刷りから直接オフセット印刷(今のはおそらく刷物から起こしているので見づらい図版がある)、つまりブックデザインとしての作品とみると完成度が高いとぼくは思います。もしかすると次の版はオリジナルに戻るかもしれません。
さとう [99.9.15_7:39]
1. 何を根拠にするかはタイポグラファーの力量、ということで思い出したのですが。Ruderはtypoprapherとtype designerの語を使い分けているのでしょうか? p12の4段落目には「タイプデザイナーだけでなくタイポグラファもまた」というような表現がありますが、書体を設計する人と、それを組む人、というような使い分けなのでしょうか(文脈によって違うのかもしれませんが…)。
2. Littera umanisticaはラテン語だったのですね。University of Notre Dameのラテン語オンライン辞書で検索してみました。
Results for query “Littera”:
littera : letter (of the alphabet).
litterae : (pl.) letter, epistle, missive, note /literature.
とありました。umanisticaはうまく探せなかったので、気長に探してみます。
3. オリジナルは正方形なのですか。そうすると図版ページのキャプションの処理なども違うのですね。使っている書体は同じなのでしょうか? というのは、3カ国語併記なのですが、その言語のイメージの強い書体から距離をおいたneutralなtype face(p12の5段落目)、というものをRuderはどう考えてこの本を作っていたのかな、と思いましたので。(知識がなくて、欧文書体の「その国らしさ」や歴史がよくわかっていないのですけれど…)
4. p14の3段落目の最初のほうに出てくる、「Yachting style」とはなんでしょう? 文脈からするとアールヌーヴォーの何かかな、とも思うのですが…
koizumi [99.9.17_21:11]
さとうさん、ぼくの連載のhtypo5『文字をつくる人、文字を使う人』を読んでください。そうラテン語はいろいろな学名にも使われているように正確に定義するとき使うようですね。ご想像のように、正方形になると当然上段の部分の論文が下段に入り込むわけですが。。。絶妙です。単純に考えるとペーパーバック版のように上下別れているほうがplatesをけがしてないようですが。。。オット・エックマンについてちょっと調べます。時間ください。
koizumi [99.9.23_13:12]
Otto Eckmannのyachting styleですが、おそらく、おそらくですねー「ペーター・ベーレンス」のヨットのマークのことじゃないかなーっと思います。ユーゲントシュティールっというアールヌボーがドイツに普及したときのシンボルみたいなものです。したがって、彼が作った植物的な書体をシンメトリックに組んだタイポグラフィのスタイルでしょう。ひょっとすると間違えているかも。ぼくちょっとモリスとかミューシャとかドルナッハとか生理的にダメなんです。でもSchwarzWaldは最高なところ、すばらしい森と自然。とにかく、19世紀は本当にわからないのでこのへんで勘弁してください。
さとう [99.9.25_4:26]
小泉先生、調べてくださって、ありがとうございます。気軽におうかがいしてしまいましたが、自分でももうちょっとまじめに調べないといけませんね。面倒な調べものをお願いしてしまったようで反省しています。ところで、例のラテン語ですが、「ユマニスト体」というそうで、Humanist Type Styleについては専門サイトに説明がある、とMLのほうで情報をいただきました。 こちらのチャットから参加してくださったみなさまにも、情報いただきました。ありがとうございます。SchwarzWaldは行ったことがないのですが、一度行ってみたいです。でもドイツ語がわかるともっと楽しそうですね。
さとう [99.9.25_4:33]
たびたびすみません、ひとつ書き忘れました。ぼくの連載のhtypo5『文字をつくる人、文字を使う人』これはこのサイトのどこかにありますでしょうか?(すみません、うまく探し出せなかったのです…)あるいは、「デザインの現場」本誌のほうに書いておられるのでしょうか?
koizumi [99.9.25_10:40]
さとうさん、気軽にできるのがこのチャットのよいところでしょ。ララン語までみんなが協力して調べられる。。。なんてやっぱりインターネットはすばらしいツールですね。ぼくひとりじゃしそうもない。さてhtypo5は連載です。1998/4月号です。ぜひご覧ください。
ニノミヤ [99.10.5 10:58]
皆さんはじめまして。 ニノミヤと申します。 話題を変えて恐縮ですが、自分の興味あるところから質問します。 Le CorbusierやMiesの写真が何点かありますが、 Ruderの建築との造形的関わりみたいなものを幅広すぎると思いますが教えていただきたいです。 時代もあるけど、やっぱりCorbusierなんですかね。 RochampやCorbusierを編集した本があるんですかね。 よろしくお願いします。
koizumi [99.10.7_20:35]
ニノミヤさん、ぼくにはRuderと建築との直接関係はよくわかりません。シュミットさんに聞いてみましょうか?ぼくがわかる範囲では我母校の建築は工芸学校としては最高でしょう。Architekt=Hermann Baur。彼はおそらくルダーと同時期に学校に関係していたはずです。 それと”Ein Tag mit Ronchamp”という、写真を中心にまとめあげた本が存在します。もちろんBuchgestaltung(Book design)=Emil Ruder、数少ないルダーの完全デザイン本です。一言すばらしい。ぼくはロンシャンの本の中で歴史上最高だと思ってます。
ニノミヤ [99.10.8_10:18]
いやー、その史上最高のロンシャン本、一度拝見したいですね。ありがとうございました。では、また。
T22 koizumi [2000.5.28_9:25]
前にも書きましたが、ルダーの『タイポグラフィ』は永遠です。一度全部読んだからって済むものではありません。
T23 koizumi [2000.5.28_9:42]
つまり、他の本を読んだり、仕事をしたり、全く違った経験やもちろん直にタイポグラフィの経験を積んで、それでまた『タイポグラフィ』を読み直すことで良さがわかってくる本だと言うことです。前にも確かHochuliの本を全訳し終わった人が「シンメトリー」と「アシンメトリー」ということばを訳せても、その深い意味がわからなかったので、ぼくに質問をした例をいったと思いますが。それでは単なるお勉強なのです。おそらく身に付いていない。みなさんはいろいろやって、本を必要な時に活用して、成長していくのがプロということしょう。
T24 さとう [2000.5.29_5:32]
そうですね…。Ruderを読んでみようという必要性(?)を感じたのは、やはり自分で少し仕事をしてからでした。(ここのみなさんは意識が高くてスゴイ…と感心してしまう。)やはり、ばくぜんと「いい本」というより自分の必要性、ということでしょうか。「シンメトリー」の例を出されていましたが私が今Ruderのテキストでわからないのは「グレー」です。(意味、というか、グレーの機能、というか)自分が思っていた意味とはどうも違っていたように思っています。わからないなりに、ともかく最後まで読んでみようと思っていますが。『タイポグラフィの読み方』というのは単行本でしょうか?たのしみにしております。
T25 koizumi [2000.5.29_20:51]
さとうさん、がんばってください。グレーについてですが、文字が組まれた面を漠然と言うことが多いです。つまり、真っ黒のソリッドでなく、白でないということです。連載では「文字がつくる面」で話してます。『タイポグラフィの読み方』はデザ現のムック『本づくり大全』のシリーズで9月に出る予定です。ワインガルトの『Typography』のアンサーブック?かな。そこまではいきませんが、ぼくのを読むとわかりやすくなります。ワインガルトの本はちょっとみなさんには取っ付きにくいかも知れませんね。
T26 さとう [2000.5.30_4:30]
はい。ありがとうございます。グレーは、たしかに文字の並んだ面、とはなんとなく思っていたのですが、文字のつくる濃度(:ファミリーとの関係)と、ページ内でのグレー面の構成的な意味というのはRuderが書いているようなことほどはっきりと意識していなかったように思います。なんだか、感覚で漠然とそうなんだろうなーと思っていたようなことを明白に理論として(?)整理して言い切られると、おおー、という気持ちになります。でもなんだか、まだ私のわかっていない領域(?)が「グレー」にはあるのではないだろうかーという気がしてます。このへんの話題は、「文字がつくる面」の回ですね。さがしてみます。今の仕事が終わったら、ワインガルトも探しに行ってみます。(なかなか、出かけられずにいます…。)また、本がみつかったら書き込みます。
T27 2038 [2000.10.12_1:03]
久しぶり投稿します。ティー誌のスイス・タイポグラフィ特集を読み返しました。ロンシャンまた見たくなりました。もう一度みたいです。こんどは中身も読みたいです。Typographieはずっとサボっていたのでちょっとまずいです。ちゃんとやらないと。
T28 koizumi [2000.10.13_9:17]
2038さん、バーゼルの本についての意見があまりないので今年限りでこちらはやめようと思っています。ティー誌のバックナンバーには良いものがあります。ぼくも大学院の授業で使用しようと思って準備中です。ロンシャン。そう行ってみないとあそこはわからないですよね。そしてあの本のよさが倍増。ぼくもまた行きたいな。ルダーの本、ワインガルトの本、共に歴史に残る本ですね。お互いじっくり読み続けましょう。
T71 0431 [2001.7.10_3:26]
あ、すみません。Typographie が流行だったことで多くの人のがもっとタイポグラフィや文字について今までより慎重になったのではないかと思います。僕もそうですが、いつもカバンの中に入れて持ち歩くというよりも、知識として常にデザインをする時に心掛けるようになりました。
T72 koizumi [2001.7.10_15:42]
そうでしたか。深い意味があるのかと思いました。ぼくはルダーのタイポグラフィは流行りでないと思います。0431さんが慎重になったのはよいことですが流行りとはそういう意味ではないと思います。ちなみに、20代のぼくはたいてい持ち歩いていました。今も長岡、実家、仕事場そして。。。ぼくの行く頻度の高いところには1冊置いてあります。
T73 0431 [2001.7.21_8:53]
今日届いたNiggliの2001/02年版のカタログに出ているルダーのtypographieのフォーマットが正方形に近い形で黒い表紙に変わっているのですが、これは改訂されたということでしょうか?この場合説明などはどこに載ることになるのでしょう?
T74 koizumi [2001.7.21_9:45]
0431さん、さすが早いですね。朗報です。帰国したばかりのシュミット氏からの17日付けファクス(部分):
this autumn, ruder’s book will be published in the original size by niggli.
と来ました。彼にはほんとうに感謝!抜けていたcolorの章や観音ページそしてそのため削られていた図版が入るのでしょう!うれしい。たのしみ。0431さん、解説の入り方は出てからのおたのしみということで。
169 n [2001.10.9_22:46]
こんにちは。レクチャーを受けながらも、こちらはもっぱらRuderの「Typographie」に夢中です。毎日少しずつですが、辞書を片手に調べています。もっと早くに読むべき本だと思っていたのですが、読み始めてみると、今の自分でなければ理解できない一冊に思えました。ワインガルト先生の本は次の課題として書店で見るにとどまっているのですが、第一印象は「難解」でした。しかし、レクチャーを受けてからその印象は随分変わり、またRuderと共通するものも発見できる気がしました。[負]から[正]を探るというか、[裏]を[表]に変換させるというか。例えば、活字のゲタ(裏)から類似するグラフィック性(表)を探ったり。ロゴにおいても、ひとつを語るのに「多国語並記」とするところを、全く逆のカタチで成立させてしまう。これって、前からくるパンチを後頭部で受けてしまったショックです。Ruder「Typographie」序文に、彼によって “the passive background is transformed into a vital and active foreground.” とありますが、そういったことに繋がるように思えました。新たな可能性は、いつも見えないところに潜んでいるんですね。