紙        と 活版印刷     と デザイン   のこと

出版おめでとう。
ここのところ、書店では活版の本と和文書体の本が目白押し。その中でも、この本にはちょっと別の想いがあります。本をつくった高田唯さんは、ぼくの桑沢一期生。といっても、彼は学生の頃からとてもすごい人で、特に教えたという記憶はありません。課題でつくった本『GRANDMA』の湾曲した本文組と写真との構成は忘れられないですね。とにかく、彼らしい本。大好きです。もちろん優秀作品でした。(残念ながら、ぼくの手元には初期の桑沢の学生の優秀作品が一冊も残っていないので、今後も発表できませんが)
この本を読むまでパピエラボのことは全く知りませんでしたが、これからもがんばってください。期待してます。次の世代を代表するグラフィック・デザイナーになるのだろうと思います。お父さんもすばらしいデザイナーですし。
そういえば、この本の本文組の句読点「、」「。」の扱いが、悩ましい。

活版の新鮮さ!

昨日のカッパンインサツWSでの小学生の女の子の笑顔が忘れられません。
どうして?っと聞いたら、初めて刷った自分の名前の「く」が間違った方向に、刷れてしまったのです。
つまり、植字するときに逆さに植えたんですね。(そう、よめるんだもの)
この刷り物は、たった一枚、その後の刷りのものは担当の係の人が直してしまったから(当然ですが)
そのたった一枚が、彼女にとって、最も大切な刷り物らしく。。。
とても、フレッシュな「笑顔」でした。
きっと、彼女にとって、この夏休み一番の、衝撃的な思い出になったのではないでしょうか。
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「く」のfisch(誤植)。このような光景は、じつは現在簡単に見ることができません。
今の身の回りでは(コンピューター上その他。。。では)ワザワザ意識的に変えなければ、起きえないことなのですね。

白金の新しい受講者さんのメールから

> 追伸:
> …
> それから、SFOで私が訪ねたころの一部のリンクをお送りします。
> Center for the Book
> http://www.sfcb.org/
>
> Hello! Lucky
> http://www.hellolucky.com/
> 15人位の規模のレタープレスのスタジオです。
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SFOなつかしいです。活版なかなかすごいんですよね。ぼくも4年前にいきましたが。
彼女、全部見てきたようですね。

Romano Hanni 展 comes again

ロマノ・ヘニ:
活版印刷による本 1985-2008
Romano Hanni:
Handprinted Books 1985-2008
(なお、本展は2008年8月に恵比寿のlimArtでおこなわれた展示を再構成した巡回展です。)
これまでに制作した本から約9点と、日本での展示にあわせて制作された新作を展示。同時に、創作過程をかいま見ることの出来る印刷プロセスと画像、ヘニ編纂の雑誌記事(TM誌)やバーゼル新聞のデザインマニュアルなども合わせて展示する(詳細未定)。
会期:
2008年
10月21日(火曜日)より11月7日(金曜日)
休館日:
土曜・日曜、国民の祝日
開館時間:
9:00〜12:00、14:00〜17:00
会場:
スイス大使館ギャラリー
入場無料*
*身分を証明するもの(運転免許証・保険証・パスポート等)のご提示をお願いしております。
〒106-8589
東京都港区南麻布5-9-12
東京メトロ日比谷線広尾駅より徒歩3分
問い合わせ先:
03-5449-8400(スイス大使館)
企画:
阿部宏史
企画・販売協力:
limArt(リムアート)

Romano Hanni 展

ロマノ・ヘニ
活版印刷による本
1985−2008
タイポグラファ・デザイナーとしてバーゼル新聞やアートフェアのデザインを携わる傍ら、1985年以降スイスのバーゼルで活版印刷による本を制作しているロマノ・ヘニの国内初の個展が開催される。1956年にスイス・バーゼルに生れ、父もまたチューリッヒの印刷所の活版印刷職人であったヘニは、1970年代にバーゼル工芸美術学校で植字工・グラフィックデザイナーとしての教育を受けた後もバーゼルにとどまり、極めて精緻な組版技術と印刷工程から生まれる本を、自らの工房で今日までつくり続けている。リシツキーら初期モダニストらの視覚言語を彷彿とさせる作品、ラスコーの壁画に描かれたモチーフを活字の罫線(けいせん)で再現しようとした作品、文学作品の最後のセンテンスのみをつなぎ合わせた「テクストコラージュ」と活字の約物(やくもの)を組み合わせ、新たな意味を創りだした作品など、正統的な活版印刷の伝統と技術を尊重しつつ、いわゆる「スイスタイポグラフィ」の実験的アプローチを取り込んだ斬新なアプローチで制作に臨む。活版印刷のプロセス自体をテーマとしたもの、バーゼルでおこった大規模な化学災害をテーマにしたもの、カフカの短編を活版印刷の要素によって再解釈したもの、テクストコラージュなど、実験的な要素を織り込みながらも、活版やタイポグラフィの伝統的なアプローチへの配慮も欠かさない。
これまでに制作した本11点に加え、日本での展示にあわせて制作された新作を展示販売する。
会期:
2008年
8月12日(火)より24日(日)
12時より20時まで
月曜休み
会場:
リムアート
マルチプルスペース
150-0022 東京都渋谷区恵比寿南2-10-3-1F
Organized by limArt and
Hirofumi Abe
http://www.limart.net/event/romano.html

活版少年 for PRINTED EPHEMERA

作品リスト:
1982 夏号 No.4 「仮面の夜」
1982 クリスマス号 「アヴェマリア」
1983 春号 No.6 「はなのの」
1983 夏号 No.7 「水=水」
1983 クリスマス号 「Merry Christmas & H. B.」
1984 春号 No.9 「プレス紹介」
1984 クリスマス号 No.11 「表紙」
1985 春号 No.12 「扉/印刷蜻蛉」
1985 夏号 No.13 「カレンダー/janvier」
1985 クリスマス号 「休」
1986 春号 No.15 「オーゼロオー」
1986 夏号 No.16 「アイエルアイエル」
1985 号外 「幸子サン オメデトウ○」
1986 号外 「setokko san e」
今日のカフェでお見せしました.20年以上も経ってしまったのですね.
こういうたのしい活版を.なつかしいなぁ.