『漆黒の霧の中で』

  摺師てんぐ安と鼻六:
 鼻六もそうだが、てんぐ安も板にはうるさい男である。鼻六は気にいらないと血相を変えてすぐにどなるが、てんぐ安はどならない。そのかわり彫りに傷があったり、未熟だったりすると、黙って板を突っ返して来る。あとはおととと来い、という態度で、しゃくれたあごをあさっての方に向け、弁解も詫びも受けつけない。こわい男だった。
・・・
土間から家の中まで、足の踏み場もないほど版木や紙が散らばっている乱雑さ***に恐れをなしたこともあるが、・・・途中で長居はしていられなかった。
  てんぐ安、やっぱり何度読んでもいいなぁ。
  ***ううぅ、今ヘルベチカでこんな感じ・・・

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