気谷誠さんの謎

今日、午後、目黒美術館区民ギャラリーで「愛書家の肖像」というトークショーが行なわれた。
製本家の大家さんからご案内をいただき、東京製本倶楽部展ということもあり、都筑先生と伺った。
山田俊幸さんのお話から1986年に指月社から刊行された『メリヨンの小さな橋』という本のこと、当時のことが思い出された。
そのときに、気谷さんとお会いしている。
ぼくはまだフリーになりたてで、大家さんから活版の本文組の基本デザインを教えていただきながら、仕事をした記憶が蘇った。少部数でほとんどの人が知らないけど、質の高い、上品なフランスの香をもった版面のページで、銅版画が挿し込まれている。そして大家さんの完璧なシンプルなルリユール。発刊の案内のカードもなつかしかった。ぼくの初期の仕事だ。
昨年9月に肝臓癌で亡くなられ、もうお会いすることができないが、何かあの時にお会いして、お話したことが今でもぼくの中に残って、何かがあるのだと思う。今日はお話を聞けて、少し謎がとけたような感じする。
季刊「銀花」夏 第百五十八号 黄金の国を求めて-追悼書物の人・気谷誠
おそらく詳しく気谷さんのことが載ることでしょう。最期にお聴きになっていたSP盤のショパンの「別れの曲」ふらんす語の唄つき、、、重かった。
http://bibliotheca-g.jugem.jp/
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それにしても、大家さんの実演「はなぎれ編み」は感動した。
それと福永武彦『芸術の慰め』『象牙集』の話しが出た時、ちょっと鳥肌が立った。

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