滴(しずく)

優れた茶人は、柄杓の扱いが自然で上手である。武士で言えば刀と最も似ていると感じる。道具というものは究極そういうものなのか。昔の茶人の点前を見てみたい。基本となる二種の量をブレないで、お湯(あるいは水)を汲めて注げることが肝要。扱いや持ち手はどのような時もいくつかの同じかたちの繰り返し。

  • 一杯に汲む=
    茶碗を温める時:
    茶を掃いた茶碗に入れる時:
  • 半分に汲む=
    茶碗を濯ぐ時:
    お仕舞に茶筅を濯ぐ時:
    水指から釜に水を差す時:
    (この場合、合や茶碗の大きさなど適宜。量は未調整)

汲みたい量にする:
柄杓の合が釜のお湯の中にある時に、柄杓の合の傾きで量を決めてしまう。
そのままの傾きのまま柄杓を上げてきて、
柄杓の底が、水面から離れてから、柄杓の合を水平にして上げる*。

滴:
釜から茶碗まで柄杓を移動させている間に、お湯が落ちない様に細心の注意を払う。柄杓の合の底は、凹型になっているので、水面から出た後に合の底面に未だ残っているお湯は、直ぐには合から落ちない。しかし、いずれは必ず一滴は落ちると予測すべき。それがいつなのかを測る。合の底面で一箇所に集まってくるお湯をその汲んだ直後にその場で落とすか、柄杓の移動中畳に落ちる前に、茶碗など移動先の中にお湯を入れるようにするのかその場の判断があらかじめ必要である。
水中で傾けた柄杓のその角度をそのまま変えることなく、柄杓の合の底を水面から上げると、斜めなためお湯の切れが良いはずなので、お湯は残らないで落ちるはずだが、それが一呼吸の間に落ちない場合が困る(*この瞬間)。また合を水面から上げた後、お湯が切れるまでしばらく待つのは作為的でよくない(絶対に振ったり揺らしたりしてはいけない)。何度やっても水面から離れる時の表面張力では完全に露を切ることができない場合がある。

注ぐ:
茶碗にお湯を注ぎ入れる時、茶碗の右側にお湯が垂れて、茶碗をとると畳が濡れているのは恥ずかしい。その原因は、柄杓の底の部分に伝ったお湯が茶碗の右の縁から外に出て、畳に落ちている。
はじめに、お湯を合から茶碗のどこに落とすかを決めて集中して注ぐ。絶対に茶碗の中心にお湯を落とさないようにすること。
茶碗の直径と角度を見る=落とし始めに茶碗の(7,8時位の短針がくる)左側手前の縁に近い所に、落とし終わるまでその位置を動かさないように注ぐ。つまり、寸分の狂いとブレは禁物。

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