千里同風

出典『景徳傳燈録』。遥か彼方まで同じ風が吹くの意から、よく治まった世の中、乱れた世の中、というようにその全体の同様を表す。仏教で風とは教えであり、時空を超えてどこにいようともかわらないという意。おそらく1950年庚寅に扇面に記されたものを(秋田の?)所有の方が個人的に表装されたよう。なので共箱なし。即中斎の十八番の禅語? しかしあまりお軸現物は見かけたことがない。どうしてなんだろう? 「千」の書き方は2種類あり。1937年36歳で家元を継ぎ、1949年財団法人不審庵を設立。その頃の書、花押の上に「不審」とある。
容易に目にできるものとしては、1975年、法人設立記念大会記録集は記念茶会および講演会を収録した『千里』と茶の湯美術展の大要を収録した『同風』という刊行物。その書籍セットの帙の題箋の書よりも若々しい。とてもいい。白紙の手紙を思わせる。
おそらく扇の骨数は五間。蝙蝠(かわほり)左右の寸法がうまく合わないことから、左右を切り取ってバランスよく配した感がある。風、すなわち扇面に最適と言える。

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