一たん鑿を握ると、富蔵の仕事は早かった。早いだけでなく驚くほど精緻な線を無造作に彫り上げて行く。この腕があるために、遅く来ようが、早めに仕事を切り上げようが、酒の匂いをさせようが、富蔵は誰にも文句を言わせない。口喧しい親方の安五郎も一目置いている。そういう男だった。だが富蔵の不機嫌な顔は、一緒に仕事をしている連中をうんざりさせる。惣助はもっぱら文字を彫っている最中で、合間にみんなの鑿をといだり、板木を買いに出たりする見習同様の若者だったし、磯吉も花鳥、風景は一人前にこなすが、美人絵の板木は首から下までしか彫れない。

『蒸気機関車讃歌―白い息遣い』

多摩美の加藤勝也さん編集・デザインの写真集送ってくださいました。確か彼は、ワインガルト来日の際、多摩美での講義を受講された方だったと思います。最近では羽原先生の関係のグラフィックを一手にやられ、精力的で、すばらしいですね。
http://d.hatena.ne.jp/totodo_books/20111103

小泉家ペット歴

memo:
初代八五郎:三毛猫 (1950年頃)
名前不詳:シェパード (1955年頃)
初代アンリー:ダックスフンド♀
初代アメジスト:ダックスフンド♀
二代八五郎:茶虎♂
初代タヌ子:アメリカンショートヘア♀
二代アンリー:ミニチュアダックスフンド♂

犬嫌いのドイツ人

今日のゲスト、Bertさんは犬嫌い。猫はもっと嫌い? ドイツ人は猫が嫌いらしい(絶対数が少なくて、犬だらけ)。
というのも、スイス、ドイツには野良猫がいない。見たことがない。日本ではよく見かけますが、とても汚い。たいてい病気をもっています。かわいそうですが、野良猫を見るのはいいけど、不潔なのでさわらないほうがよい。今日の雑談中、昔の知り合いで今有名人Y氏が猫好きで、江ノ島にいっしょに行った時、撫でようとしてひっかかれて、血だらけになって、不安な気分になったことを思い出しました。
http://www.geocities.jp/talismankatze/germany2.html
いろいろ深い意味がありますが、ドイツと猫は似合いませんね。そういえば、猫は魔女の化身、という伝説のせいかもしれません。

秘剣

雲弘流 竜尾返し/陰ノ車/飛鳥+磯波(極意剣)/六葉剣
鑑極流 松風
空鈍流 虎ノ眼
天心独名流 鳥刺し
無外流 鬼ノ爪
猪谷流 さざ波
四天流 芦刈り
去水流 鬼走り
丹石流 石割り
不伝流 双燕/蟇ノ舌/馬の骨/不敗の剣
今枝流 雷(いかずち)切り
制剛流 かげろう
井哇流 流水
三徳流 千鳥
無明流 残月
東軍流 谺返し
直心流 風切ノ太刀
鐘捲流 浮舟
神道流 双眼崩し
戸田流 小太刀浦ノ波
ひとつひとつに,人の鋭さ,弱さを感じます.すべてが極めること.
20080801

講演「フランスの美術装丁 ── 人との出会い」

明日です。ルリユール、正確にお知りにないたい方は、ぜひおこしください。
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この秋、東京古書会館で、ルリユールの貴重な講演会が催されます。ぜひ。
大家さんは、ぼくが本のことについて全く何も知らない頃からの恩人。おそらく、世界一の技を持った方だと思っています。
講師: 大家利夫(指月社社主)
会場: 東京古書会館 地下ホール
日時: 10月31日(月) 14:00~15:30
入場無料
http://jimbou.info/news/furuhon_fes_index.html
二階の展示室では東京製本倶楽部の会員の作品が展示されます。
201109221908

Dreaming of light_謡

田熊里子さんのご招待で、昨晩は、とてもすばらしい体験をしました。オープニングパフォーマンス:
“Shadow of Yugao”「夕顔の影」
Lighting: Jukka Korpihete
Music: Juha T. Koskinen
Utai: 青木涼子
短い舞でしたが、これはもう、言葉が出ません! ものすごい緊張感。はじめて間近か(数mで、おなじ床)で能をみました。
最近このような、空気に触れたことがなかった。
尊い木仏像のような存在、とてもすぐれた「もの」を連想しました。最近巷にあふれる素人木工のようなデザインとは全く違う。同じ木でも「美」となるかならないかは人(精神/魂)。とりまく音楽も然り。震災後、もっとも求めていた空間が一瞬存在しました。これからもまだまだ道は続くと信じています。
http://designforum.fi/files/dff/pdf-tiedostot/Hirameki_Pus_tiedote_en_final.pdf
http://www.ozone.co.jp/event_seminar/event/detail/1181.html

ウコン収穫

今年も好例の収穫.粉末(薬研で粉砕)は小さな薬瓶に小分け!ファンの方々のため.ウコン酒も2年熟成まろやかな香りになったので.今年から,お分けしています.義理の弟が好きで,毎晩晩酌.心配していた放射能,鷽の口は全く心配ないそうです.ひとまず安堵.
http://kounou.ukon1.info/

「脈動する本」展オープニング

昨晩、武蔵野美術大学美術館にて、杉浦さんを囲んで催されました。武蔵美の基礎デサインのひとつの結晶ともいうべきコレクションのお披露目でした。蒼々たる人々が集ってお祝いをしました。武蔵美には基礎デサイン学会の発足や向井先生のお祝い事などで、お伺いして以来です。改めて、杉浦さんが力を注がれた60年代以降の出版デザインとデザイン教育の層の厚さを感じることができました。
この展覧会は、この分野を、自分なりに極めていきたい人は、絶対に訪れるべきだと思います。
図録もすばらしい。
http://mauml.musabi.ac.jp/museum/archives/228
http://www.99265.com/Article/sjxt/zgsjs/200505/2139.html
実は、ぼくはこの会におよばれされるほどの者ではありません。臼田さんとご一緒でき、出席が叶いました。
会の最後に、杉浦さんに直接個人的なお礼を言うことができました(緊張して吃ってしまった)。1984年、ぼくは森デザインの新人で、月刊誌サイエンス8月号のオリジナル論文の担当になりました。「多面体を折りたたむ」というarticleができていく過程は生涯忘れることができません。全くの異例だと思いますが、杉浦デザインのデザイナーでないぼくが、1ヵ月間杉浦さんから直接教えを請うことができたのです。もちろんその後、このことは目に見えない財産となったのです。昨晩、そのお礼が伝えられて、本当に幸せです。
人生には、とても稀な、ほんの少しの経験が何かの力を生むこともあるのだと思います。
その後、長岡造形大で、神田先生(杉浦さんと時間距離地球儀など共作)と、一緒に大学を作っていくことになるのも、本当に何か繋がった運命なのだと、今になって思います。